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   創業明治3年、京都の料亭「和久傳」が運営する「和久傳の森」。1つの企業が森を創る、という壮大なプロジェクトに関わらせていただいております。
 平成19年に立ち上がったこの計画。年々敷地は大きくなり、年に一度行われ植樹祭では全国から賛同する人々が樹を植えに集まります。
敷地内には様々な農作物が育つ畑があり、一歩足を踏み入れると古き良き日本の原点の風景にタイムスリップしたような気持ちになります。
 




 敷地内の主要な建物は、ほとんどが他の地にある古民家をそのまま移行させたものです。
この「管理棟」もまさしくそれで、別の地にある古民家全てのパーツに番号を振り、一度ばらして、この地で再生するといった、手間のかかる作業を行っております。


 昔の家づくりを再現するため、壁は呼吸する土壁、土間などはコンクリートではなく土で固め、藁なども有効に使って機能性も保っています。もちろん木材は古民家をそなままばらして再生しているので、昔の木材のままです。
 




 こちらの「蔵」もほとんどが古材を使って建てられています。
 ただ、外観とは違い、中は巨大な冷蔵庫となっております。
扉を開けばすぐに冷蔵庫の巨大な扉が登場します。



 巨大な農機具も収納できる「農機具小屋」は、大きな開口を備えた使い勝手のいい倉庫です。


 こちらは「工房」となります。
内部は最新鋭の機器が揃ったハイテク工房。歴史ある老舗の料亭の商品を創り出す優れた工房です。



 外構を囲む石垣は果てしなく続くシルクロードのような長さです。
 使用する玄武岩なども極力、使われていたものを探し出して再利用するようにしています。





 年に一度行われる植樹祭では、全国から賛同する人々が樹を植えに集まります。
 樹は年々増えていき、さらに育ち、壮大な森を形作りつつあります。


 さらに広がる「和久傳の森」。
新しく開拓した地の、基礎工事も着々とすすんでいます。
ご覧いただくように、基礎となる土には大小コンクリートガラなどもわざとに残してあります。これが自然界にある岩の役目をして、より自然に近い環境を生み出します。




 最終的な目標はあくまで「森」です。森が出来る上で人間の存在はあくまで生態系の一部として自然になじみ、村、街となってゆく・・・





 一企業が思想を貫くために一つの森を創るという考え方。食を通じて経験・体験したことを、暮らし、環境までに落とし込み、それを実現させる。なかなかできることではありません。今回、「和久傳」様のこの壮大なプロジェクトに携わることによって、私自身も大きな影響を受けました。
 まさに和久傳様と同じで、私たちは「家づくり」を通じて暮らし、食などを意識するようになり、今では田んぼで米作りまでもするようになりました。そういった意味ではこのプロジェクトは私にとって本当にライフワークのようなものです。
 ただ私にとっては、“家づくり”も“村づくり”も規模は違えど熱量は同じ、どこまで寄り添えて、その人にとって広い意味で最良のものをご提供できるかだけです。